おみその脳みそ

猫や時事ネタや、ネトゲや仕事で使えるコミュニケーション術を扱います。

【ことば】Mommyを見て3つの愛の言葉【ネタバレ】

先日、タイトルだけ見てたぶんエロいやつだと思ってMommyを見てきました。

箱を開けてみるとかなり真面目な内容で、揚々と足を運んでしまって反省しています。ファンの方、ごめんなさい

でも経験的にみてよかったなと思いましたよ。細かい表現の違いはあると思いますが、こんなこといってたなーと覚えているものを残してみます。

 

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photo by kelticsol

 

 

そして、総合的には内容の批判はおいておくとして、詩的な映画だなと思いました。
映像美にこだわったシーンや表現技法にたよった演出も多く、印象的なシーンの連続を寄せ集めたようにも感じましたが、言葉に興味のある私にとっては持って帰りたいものが多かったですね。
こういうのは円盤で一つほしい作品です。

では、セリフに入る前に気になっている人のためへ先にあらすじをば。

 

【あらすじ】
「わたしはロランス」「トム・アット・ザ・ファーム」などで世界の映画界から熱視線を浴びるカナダの俊英グザビエ・ドランの監督第5作。2014年・第64回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、大御所ジャン=リュック・ゴダールの「さらば、愛の言葉よ」と並んで審査員特別賞を受賞した。15歳の息子スティーヴを育てる、気の強いシングルマザーのダイアン。スティーブはADHD(多動性障害)のため情緒も不安定で、普段は知的で純朴だが、一度スイッチが入ると攻撃的な性格になってしまう。そんな息子との生活に右往左往していたダイアンだが、隣家に住む引きこもりがちな女性教師カイラと親しくなったことから、少しずつ日々に変化が訪れる。精神的ストレスから吃音に苦しみ休職中だったカイラも、スティーブの家庭教師を買って出ることで快方に向かっていくが……。

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【印象に残った愛の言葉3】

1.過去なんてくそ食らえ

息子の寝坊が原因で夫のコネでもらっていた職を失ったダイアン。泣きじゃくる母に放ったスティーヴが送る亡き父の言葉。

ママ、こんなときパパなら何ていうかな。覚えてる?
「未来を鷲しづかめ、過去なんて糞食らえ」
ほら、最高でしょ


父の言葉を借りて、母を励ますスティーヴの優しさと最後の笑顔が無邪気で、同時に彼の背景がちらりと見えます。過去なんてくそ食らえには直前のスティーヴの粗相をフラッシュバックさせましたが、監督の意図でしょかね。

 

2.ママはいつか僕を愛さなくなる

母を口説く男によってストレスがピークに達したスティーヴ。
母元を飛び出し、ヒト知れずベッドに帰ってきたところを母ダイアンに見つかり、居場所を問いただしてきた彼女に放ったスティーヴのことば。  

 ママはいつかは(こんな)僕を愛さなくなる。
 僕をいつか捨てるときがくるのを分かっているよ。
 でも、僕はずっとママを愛しているよ。

 だって僕の世界で一番大切な人だもの。
 僕はずっとママの味方だ。

 

自分でも抑えられない衝動に落ち込んでいたスティーヴ。彼は彼の症状を自覚し始めたのだと初めて観客に分からせるシーンでした。

違う、そんなことはないと言葉を遮ろうとするダイアンの表情が胸を刺します。

 

3.母の愛は永遠よ

壊れた車の代わりに中古の白い車を購入したダイアン。スティーヴにとって新しい中古車を喜ぶ彼に真剣なまなざしで母が送ったことば。

 あなたの愛はいつか他へ向かうわ。
 それは自然なことなの。

 それを受け入れなければいけない日がくるのも分かっているの。
 でもね、母の愛は永遠よ。


このあと、スティーヴと海へ行き幸せな時間を過ごし、やがてスティーヴが成長していき美人な(ダイアンに似た)嫁を迎えいれる空想へと話は向かいます。嬉し泣きに周りに自慢しまくるダイアン。母の幸せにスクリーンも広がります。
一見、このセリフを踏襲してからの空想シーンと思えますが、現実ではスティーヴは施設へと送るために車へスティーヴを乗せたのでした。

 

★★★

 

 

重要なシーンでは、どこかで聞いたことあるようなお決まりのセリフが登場人物を通して放たれますが、その背景が通常の家族映画とまた異なったものを持っているため、見ている人に別の刺激を与えますね。
鉄板でありながら何度聞いてもしみる言葉をじっくりかみしめました。