おみその脳みそ

猫や時事ネタや、ネトゲや仕事で使えるコミュニケーション術を扱います。

【社会人のための】送り仮名のつけかた

<社会人・大人のための送り仮名のふりかた>

漢字の送り仮名のつけかたを聞かれることがありました。
今回は誰もが気になる送り仮名の振り方です。

 

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今日のトピック「おくりがな」は、A~Cの3ステップと、付録によって補足をしてマスターしていきます。*1

 

###ドラクエで文章の作成にも役に立つのかな?###

 

近年、学校教育において送り仮名ってのはなかなかにブレブレな教育項目で、世代によって送り方が異なる分野ですが、このおさらいで文書のコミュニケーションがより味わい深くなると嬉しいです。*2

 

 詳細は続きからどうぞ!

 

 

《<A>基本的なかんがえかた》

前置きはこのくらいで、送り仮名のつけ方は基本的には2点をおさえれば良いと思っています。(前提として「言葉の活用」を理解しているとスムーズです)

1.活用語尾をおくりがなとする
2.基本的には中等教育までの送りにならう

©2015.04.14おみそよ

この2点のうち、2番によって混乱が生じています。
送り仮名を気にするひとは2番を気にするひとがおおいです。

そこで登場するのが文化庁のホームページ。
意外と知らない人が多いかもしれませんが、中等教育までのおさらいは文化庁HPでできます。

 

《<B>文化庁による「おくりがな」の定義》

文化庁によれば「おくりがな」は以下のように方針がきまっています。

1)活用のある語

  1. 活用を表すために,次のイに述べるものを除き,活用する部分(活用語尾)を送る。
  2. 派生・対応の関係にある語〔例えば,頼む(動詞)に対する「頼もしい(形容詞)」,「当てる(他動詞)」に対する「当たる」(自動詞)など〕は,その関係を考慮して,活用語尾の前の部分から送る。


(2)活用のない語

  1. 名詞は,次のイに述べるものを除き,送り仮名を付けない。
  2. 活用のある語から転じた名詞は,もとの語の送り仮名の付け方によって送る。
  3. 副詞・連体詞・接続詞は,特に語形を明らかにするために,語の最後の音節を送る。

 

【出典】文化庁「送り仮名の付け方」(答申)

 

《<B’>解説》

<1>活用するもの

形容詞化・他動詞化できるものは、変化が読みやすいように示してあげるという指針になっています。
つまり、送り仮名は「きづかい」です。読み手が読み違えないように送るというのがポイントになっています。

 

<2>活用しないもの

こちらは例外のみを少し紹介します。

(1)名詞は送らない。
(2)名詞化したものはおくる

[参考]
動き 仰せ 恐れ 薫り 曇り 調べ 届け 願い 晴れ
当たり 代わり 向かい
狩り 答え 問い 祭り 群れ
憩い 愁い 憂い 香り 極み 初め
近く 遠く

(3)副詞・連体詞・接続詞は,最後の音節を送る

[参考] 必ず 更に 少し 既に 再び 全く 最も
    来る 去る
    及び 且つ 但し

 

 

《<c>ビジネスにおける送り仮名》

文化庁の指針は示されていますが、全てそれにのっとるとかえって読みづらかったり違和感をおぼえさせます。
個人的に提唱したいのは「相手が読みやすいように送る」ですね。
読みづらさは、以下からなると思います。

*読みづらい送り仮名
1.送り仮名なし
2.全て送る
3.語の活用部分も送る
4.読みの広がりがあるのに送らない

©2015.04.14おみそよ

文を添削するときはこれを踏んでいないか考えると読みやすい文章になります。

以上、ここまでで送り仮名の一般的な話とまとめになると思います。

しかし私の意見はちょっと違うので興味のある人は付録にて・・・。

 

 

 

《<付録1>送り仮名の歴史と意見》

1.送り仮名の混乱の原因

じつは送り仮名は、文学においては明治頃になりやっと見かけられるようになってものです。今の送り仮名になるまで3度の変更がありました。


戦前までは送り方に決まりはなく正式な文書は「なるべく送らない」というのが通例でした。

昭和24年になり、はじめて「なるべく送らない」式の送り仮名のつけかたが内閣通達により定義がされました。

 

一方でこれは「誤読が多い」という問題点をうみました。
これを打破するために「なるべく送る」という方式が昭和34年に内閣告示によって示されました。

 

こちらはこちらで「読みづらい」という批判が集まり、昭和48年に内閣告示で再定義されるようになりました。これが現在の通例です。
現在のおくり仮名方式は「なるべく送る+通例はそのまま+慣用はそのまま」という方式をとっています。

 

しかし、昭和34年と昭和48年の13年の間に学校教育を完了させ、教師となったものの間では混乱が生じ、送り仮名のふり方に差が出てしまいました。

これが現在の送り仮名の混乱となっているように思えます。

 

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photo by rachel a. k.

 

2.意見

そこで立ち返りたいのが「基本的にルールはなし」という点ですね。
34年式であれ、48年式であれ「送り仮名」教育を受けた者は「通俗」に従って「自由に」送り仮名をふるといいと思っています。
送り仮名は表現の世界に入るのではないでしょうか。

実際、送り仮名告示は「送り仮名のつけ方のよりどころ」を示しているのでそんなにナイーヴになるポイントではないと思います。


気持ちがいいのは繰り返しになりますが「読みやすいような気遣い」であって、その気遣いの幅が個性にもなります。
この記事が読まれるようになって、もっと文章をいろんな人が楽しめるようになるといいなあ。


《<付録2>送り仮名の大前提》
最後に送り仮名の大前提が文化庁で定義されているので、念のため載せておきます。

  1. この「送り仮名の付け方」は、法令・公用文書・新聞・雑誌・放送など、一般の社会生活において、「常用漢字表」の音訓によって現代の国語を書き表す場合の送り仮名の付け方のよりどころを示すものである。
  2. この「送り仮名の付け方」は、科学・技術・芸術その他の各種専門分野や個々人の表記にまで及ぼそうとするものではない。
  3. この「送り仮名の付け方」は、漢字を記号的に用いたり、表に記入したりする場合や、固有名詞を書き表す場合を対象としていない。

 

オンゲでよくキッズ達が送り違いを笑っているのがかわいいです。

*1:今回、基礎知識として言葉の活用を理解している必要があります・・・。

*2:このブレは34年と48年の送り仮名告示によるものです。付録にて補足。